生命保険相談センター

コラム回心転意

筆者:コンサルタント 廣川晴一

2014年03月:知っておきたい、サラリーマンの公的年金 -夫と妻の遺族年金-

NPO法人 生命保険相談センター
コンシューマーグループ
コンサルタント
廣川 晴一 (ひろかわ せいいち) 日本FP協会認定ファイナンシャル・プランナー

年金制度といえば、会社を退職し65歳以上でもらう事ができる年金(老齢年金)を想像する方が多く、 遺族年金(被保険者が亡くなられた際にご遺族に支払われる年金)に目を向ける方はあまりおられません。 この遺族年金の制度は生命保険と関係が深く、万一の時の保障を民間の生命保険で準備するときに、その金額に大きな影響を及ぼす制度です。

今年の4月から施行となる法改正により、遺族年金の一つである遺族基礎年金について、子供がいる夫への受給権が認められるようになります。 (2014年3月までに起きたケースについては変更無し)それにより、皆さんの保険を見直す必要が出て来るかもしれません。 まずは4月以降の変更点とサラリーマン世帯における夫婦が受け取れる遺族年金の制度についておさらいをしてみましょう。


遺族年金の対象

サラリーマン世帯における年金制度は、国民(基礎)年金と厚生年金によって成り立っており、 図1のように表されることが多いため「二階建て(三階建て)の年金」とも呼ばれています。

図1 サラリーマン世帯(自営業や公務員を除く)の年金制度

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被保険者(世帯主)の方が亡くなられた場合には国民年金部分から「遺族基礎年金」が、厚生年金部分から「遺族厚生年金」が支給される事になりますが、 遺族年金の支給を受ける事ができる対象者はそれぞれ以下のように異なります。(2014年3月現在)

遺族基礎年金の支給対象者(※1 以下のいずれか)
1.子供(※2 18歳以下)のいる妻
2.子供

遺族基礎年金の支給対象者(※1 以下のいずれか)
1.妻
2.子供、孫(※2 18歳以下)

3.55歳以上の夫、父母、祖父母


※1 支給対象者が被保険者と同一生計内で年収850万以下
※2 末子が満18歳の年度末を過ぎると支給されない(例外あり)

遺族年金の制度は、家計の担い手に万一の事があった場合に残された家族が生活苦に陥らないように用意された社会保険制度です。 しかしこの制度は「夫=世帯主、妻=専業主婦」という家庭を想定したものであり、 上記の様に子供がいる55歳未満の夫は支給対象から外れてしまっています。そこが大きな問題点でした。


遺族基礎年金の改正

制度が作られた当時と比べ、夫婦共働きや妻=世帯主となっているケースが増え、 また震災等の自然災害で夫を亡くされた家庭と妻を亡くされた家庭では遺族年金の額に大差があることが浮き彫りとなったことで、 国もようやく支給対象者の改正に乗り出す事になりました。 それにより、今年の4月以降、子供がいる夫も遺族基礎年金の支給対象者に加えられる事となったのです。


☆夫(40歳)・妻(40歳)・子供(10歳)の家庭の場合
ケース1 夫婦共働きで両者共に厚生年金加入の第2号被保険者

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ケース2 夫が専業主夫の第3号被保険者、妻が厚生年金加入の第2号被保険者

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ケース3 夫が厚生年金加入の第2号被保険者、妻は専業主婦の第3号被保険者

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現行の制度では、18歳以下の子供がいる55歳未満の夫は、基本的に妻が死亡しても遺族年金を受け取る事ができませんでしたが、 新制度において遺族基礎年金の支給対象を広げる事でカバーされます。 男女間での支給の格差を是正する大きな一歩と言えるでしょう。


しかしながら、今回の改正は遺族基礎年金についてのみです。 遺族厚生年金などの支給対象についての改正は行われておらず、格差が完全に解消されているわけではないということも覚えておきたいところです。

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廣川 晴一 (ひろかわ せいいち) 日本FP協会認定ファイナンシャル・プランナー
■筆者からひとこと
当センターコンサルタントとして2000組以上の法人・個人のライフプランや資産運用などに携わってまいりました。常に相談者のお話を親身に聞かせていただき、的確な情報をわかりやすく伝えられるよう心掛けております。

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