生命保険相談センター

コラム回心転意

筆者:理事長・コンサルタント 山田勝徳

2016年05月:改姓保険業法による - 保険選びの変化 -

NPO法人 生命保険相談センター
理事長
コンサルタント
山田 勝徳 (やまだ かつのり) 日本FP協会認定ファイナンシャル・プランナー
日本モーゲージプランナーズ協会モーゲージプランナー(住宅ローン)

皆様は保険業法という法律をご存知でしょうか?

この度、この保険業法の改正案が2014年6月に成立し、2016年5月29日から施行されることになりました。
今回のコラムでは、保険業法の改正によって皆様の生命保険選びにどのような影響があるかを解説して行きたいと思います。


改正の中身

保険業法は主に保険を取扱う側、つまり保険会社や保険代理店、販売者(募集人と言います)を対象にした法律ですので、一般的には「聞いたことがない」という方が大半ではないでしょうか。

したがって簡潔にお伝えしますと、

“消費者保護のため保険の販売やそれに関する業務のあり方について規制する法律”

ということになります。

保険業法の中身についての詳細は複雑なので割愛させて頂きますが、今回、この保険業法の改正によって以下の3つの規制が新たに加えられました。

① 代理店の体制管理の義務化 (所属する募集人への監督・教育の徹底や、社内規程やコンプライアンスの整備等の義務)

② 意向把握義務の設置(保険の販売(募集と言います)時に顧客の希望やニーズの適切な把握、保管の義務)

③ 情報提供義務の設置(顧客に保険を販売する際の根拠や、取り扱える保険商品の提示、また、その中からさらに特定の商品を提示した根拠を伝える義務)

一見すると分かりづらい内容になっていますが、この内の①、②については、改正前も同様に求められてきたことが厳格化されたということに過ぎず、皆様の保険選びに与える影響は少ないと考えて良いでしょう。

一方で、③については、特に複数の保険会社の商品を取り扱う保険代理店(乗合代理店と言います)経由での保険選びに変化をもたらす可能性があります。


情報提供義務はなぜ設置されたのか

大きな乗合代理店や保険ショップなどを利用されたことがある方で、次のようなご経験はありませんか?

・ 医療保険を相談しに行ったが、数多く商品を取り扱えるはずなのに1~2商品しか見積もりを出してくれなかった・・・

・ 商品を提案され、良いと思って加入したが、友人が同じ店舗で加入した商品を見せてもらったら、自分には提案されなかった商品だった・・・

数多くの保険会社の商品を取り扱うことができる大規模な乗合代理店は、その点を「当社の強み」として打ち出しているにもかかわらず、実際に来店してみると提示される商品が限られている場合があるようです。(なお、上の2つの例は実際に当センターにご相談に来られた方からお聞きした経験談であることを補足させて頂きます。)

では、なぜこのようなことが起きているのでしょうか?

理由はいくつか考えられます。

例えば、取扱可能な商品をすべて提示すると膨大な量になってしまい、提案される側にとっても検討して頂くのに非常に大きな労力を強いることになるので、あらかじめ優位性のある商品だけを絞って提示している場合や、健康状態等を事前にお聞きした結果、そもそも加入可能な商品自体が限定されてしまうケースなどが当てはまります。ただ、このような絞込み理由であったとすれば、提案される側としても納得しやすいものだと言えるでしょう。

一方で、完全に売り手側の都合によって提示商品が絞られているケースも少なからず存在します。その保険商品を販売することで代理店に支払われる手数料の額によって提案する商品を決めてしまっているケースです。保険販売の場合、投資信託などとは異なり手数料を顧客に開示する必要がないので、「手数料の高い商品だけ提案されている」ということにはまず気が付きません。

確定的なことは分かりませんが、今回の保険業法改正による情報提供義務の設置は、このようなケースに対する措置であると推測することができます。


保険選びはどう変わる?

情報提供義務が発生することにより、販売側には「この商品を提案する理由」を提示することが求められるようになりました。前述のような「手数料の高い商品を優先して提案する」という理由を提示することは難しいため、そのような手法が減ってくることは期待できます。したがって今回の法改正により、消費者がより適正な保険選びを行いやすく、また、選択の幅を広げる可能性がある、と言えるでしょう。

まとめると、以下のようになります。

1、「何を」加入するか、保険商品の選択が広がる

   ・・・ 販売側の都合による提案が減ることで商品を客観的に比較できるようになる

2、「どこで」加入するか、保険代理店の選択が可能になる

   ・・・ 同じ商品を取り扱う代理店でも提案理由の違いにより自分の入りたい代理店を

       比較して選ぶことができる

一方で、選択の自由が広がることにより消費者の皆様は以下のことにも気を付けなければならなくなります。

○ 自分で保険を選ぶことの「責任」が重くなる

○ 商品や代理店を見極める「目」を今まで以上に養う必要がある

もちろん、改めて身構える必要はありませんが、選択の幅が広がるということはそこに発生する責任も当然大きくなります。また、選択肢が増えてしまうことによって様々な情報に振り回され、かえって混乱してしまうこともあるかもしれません。

思えば2012年6月に「保険ショップ」をテーマにしたコラムをこのコーナーに掲載したことがありました。その際は乗合代理店や保険ショップという業態について期待をこめた上で、「消費者が自分に合った商品を探すために「活用」できるような流れを作っていく必要がある」と書かせて頂いた記憶がありますが、3年以上経った今でもそのような流れにはならず、法改正により行政から規制される形になってしまったことは少し寂しく感じています。

同時に、保険選びのプロフェッショナルとして、消費者である皆様一人ひとりが適正な選択を行うためのお手伝いができるよう、気が引き締まる思いもあります。

この改正を契機に、一人でも多くの方が本当に自分にあった保険に出会えるようになることを願うばかりです。

※今回の改正保険業法については、2016年3月現在で判明している内容をもって説明しておりますが、本格施行前に内容および解釈の変更があり得ることをご承知おき下さい。

NPO法人 生命保険相談センター
理事長
コンサルタント
山田 勝徳 (やまだ かつのり) 日本FP協会認定ファイナンシャル・プランナー
日本モーゲージプランナーズ協会モーゲージプランナー(住宅ローン)
■筆者からひとこと
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