生命保険相談センター

コラム回心転意

筆者:理事長・コンサルタント 山田勝徳

2019年01月:外貨建て保険の活用

NPO法人 生命保険相談センター
理事長
コンサルタント

山田 勝徳 (やまだ かつのり) 日本FP協会認定ファイナンシャル・プランナー
日本モーゲージプランナーズ協会モーゲージプランナー(住宅ローン)

 

超低金利時代にある今、保険業界では米ドルなどの「外貨建て」の保険がブームとなっています。

外貨建て保険とは、終身保険や養老保険といった通常の保険を、円ではなく外貨で運用している保険のことを言います。
定期預金や円建ての保険では効率よくお金を貯めることが難しいということで、保険ショップや銀行などから外貨建て保険を勧められた方も多いのではないでしょうか。

今回は、外貨建て保険の利点や注意点を解説します。

外貨建て保険の利点

外貨建て保険は現状の円建て保険では実現できない高い貯蓄性を実現しており、これが外貨建て保険の最大の利点となります。
たとえば、米ドル建ての保険であれば米国債等で運用されるため、金利の低い日本国債で運用されている円建ての保険と比べ、高い積立利率が設定されています。
例えば外貨建ての終身保険の場合、円建ての終身保険の積立利率1%以上で運用している商品は現状ほとんどありませんが、米ドル建ての終身保険では1.5~3%程度で運用できている保険が多くみられます。

ここで、積立利率の差で実際の運用額にどのくらい違いが出るのか、簡単な例をお示しします。
なお、現実には各保険会社、各商品で積立利率が異なるため、以降に出てくる図表では、各種費用や手数料などを無視した単純な計算で表していますことをご留意下さい。

積立利率0.50%を円建て保険、2.00%を外貨建て保険として考えると、10年という(保険商品としては)比較的短い期間であっても運用益に大きな差が生じることが分かります。
現在(2019年1月時点)のところ、医療保険などのいわゆる「掛け捨て型」の保険種類で外貨建ての商品は販売されていないことから、保険会社としても外貨建ての商品の高い「貯蓄性」を最大の「売り」として販売したい、という思惑があると考えられます。

為替リスクには注意

一方で、外貨建て保険の加入時には気をつけなければならないこともあります。それが「為替リスク」です。

外貨建て保険の場合、仕組み自体は通常の保険と変わりませんが、保険料、保険金、満期金、解約返戻金など保険に関するお金はすべて指定の外貨で設定されます。(商品によって異なる場合あり)
保険提案の際に用いられる設計書には、解約返戻金や満期金の「返戻率(戻り率)」が記載されていますが、外貨建て保険の設計書に記載された数値はあくまでもその「外貨」で計算されたものです。

しかしながら、外貨建ての保険料や保険金、解約返戻金を「円」で支払ったり受け取ったりする場合、当然そのたびに円と外貨を「交換」しなくてはなりません。交換自体は保険会社が行うため手続きの手間はかからないものの、為替レートの変動により実際に円で支払う(または受け取る)金額はその時々で変わってしまいます。
つまり、設計書上の戻り率と現実の戻り率は異なると考える必要があるのです。

商品によっては、円との交換をせずに、支払いや受け取りを全て外貨で行うことも可能ですが、通常日本国内で生活していれば現実的とは言えません。そのため、為替リスクを完全に回避することは不可能と言ってよいでしょう。

数年前から続いたFX(外国為替証拠金取引)などの流行もあり、一般的に「外貨」と聞くと、どうしても「投資」のイメージが強く出てしまいがちですが、為替リスクのような先の予想できない要素によって損得があるとなれば安心できない、と考える方も多いのは仕方のないことかもしれません。

外貨建て保険の選び方のポイント

とはいえ、貯蓄性の高い外貨建て保険は為替リスクを考慮しても魅力的であることも事実。そこで、この少し「クセ」のある外貨建て保険の中で自分に合った商品を選ぶにはどうすればよいでしょうか。
ここではいくつかのポイントをご紹介します。

①積立期間と引き出すタイミングを考慮して商品を選ぶ

 

外貨建て保険は短期的な成果を求めるよりも、どちらかといえば長期的な積立に向いています。
ただしそれが10年なのか20年なのか、期間によって適した商品が異なってきますので注意が必要です。
たとえば「必ず10年後に必要になるから」というお金を外貨建て保険で積み立てていくのはあまりお勧めできません。10年後の為替レートが望ましいものになっているかどうかは、先に述べたように誰にも予想できないからです。

外貨建て保険を選ぶ際には、為替リスクに対応できるようお金を引き出すタイミングをある程度操作できる資金・商品で積み立てていくことが望ましいでしょう。
最近では学資保険の代わりに外貨建て保険を安易に勧められるケースがあるようですが、特に教育資金など必要となる時期が決まっているお金の準備に外貨を用いる場合には、より慎重な検討が必要です。

②商品の仕組みを理解する

 

外貨建て保険は金融商品の一種ではありますが、あくまでも「保険」商品です。万一のときの保障と貯蓄の両立は保険でなければできません。
特に外貨建て保険はその高い利率から、同程度の保障額の円建て保険よりも保険料を安く抑えられており、外貨建て保険を活用することでより効率的に保障を準備することが可能です。
こうした外貨建て保険は、一般的な保険同様、月々(または半年、毎年)決められた保険料を支払っていくタイプの、定額払型の商品になります。

一方で、貯蓄性のみに特化させた外貨建て保険も販売されています。多くは一時払(保険料を一括で支払う払方)となっており大きな金額をまとめて支払う必要があるものの、定額払型の商品より比較的短期間で(外貨での)戻り率が100%超えるように作られています。

こうした一時払型の商品の特徴として、死亡時の保障は払い込んだ金額に対して大きくならない変わりに、健康状態の告知が必要のない、もしくは簡単な告知だけで加入できるようになっています。契約者にとって加入しやすいと同時に、販売者側も売りやすいというメリットがあり、銀行を中心に販売が増えています。

上記の種類の保険をベースとして、さらに

・「三大疾病や介護など死亡保障以外の保障」など保障面をさらに厚くした商品
・「途中で定期的にお金を受け取れる」など貯蓄性に幅を持たせた商品
・「積立金の一部を株式等で運用する」ことでより投資に近づけた商品

などが、外貨建て保険には存在します。
どのようなタイプの保険にもメリット・デメリットが必ずありますので、健康状態や積立期間、準備できる資金等を考え、自分に合ったものを選びましょう。

③為替レートの変動にどこまで対応できるかを確認する

 

円に交換せずに完全に外貨でやり取りを行う以外、外貨建て保険の為替リスクを回避する方法はないことはお伝えした通りですが、貯蓄性の高い保険であれば、ある程度為替レートが変動してしまったとしても「元本割れ」(満期金や解約返戻金<保険料総額の状態)にならずに済む場合があります。

上記の例のような一時払の外貨建て保険に加入したとき、10年後に解約する時に1米ドル≒93円、加入時からおよそ17円以上、円高にならなければ元本割れせずに解約返戻金を受け取る事が可能です。
外貨建て保険に加入する際は、このように為替レートの変動にどこまで耐えられる商品なのかを確認しておくとよいでしょう。

終わりに

金利情勢次第ではありますが、貯蓄として活用できる円建て保険が少なくなってしまっている以上、今後も皆さんが外貨建て保険に触れる機会は増えると思われます。
すでに各保険会社間でも商品開発競争が活発化し、本稿で触れた商品以外のタイプの保険もすでに存在していますし、今後もより複雑な商品が出てくることが予想されます。
現状、保険を使ってお金を貯めようと検討する場合、外貨建て保険の選択肢は避けて通れないものとなっていますので、外貨だからと必要以上に怖がらず、しかし慎重に、より良い商品を選択しましょう。

NPO法人 生命保険相談センター
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コンサルタント

山田 勝徳 (やまだ かつのり) 日本FP協会認定ファイナンシャル・プランナー
日本モーゲージプランナーズ協会モーゲージプランナー(住宅ローン)
■筆者からひとこと

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